RACE RESULT
全日本ラリー JN5クラスに参戦中のMINI JOHN COOPER WORKS RALLY TEAM.のレースレポートです。
第7戦 Rally Hokkaido 2016
開催日
2016年9月22日(木)〜9月25日(日)
開催場所
北海道 帯広市近郊
天候/路面
Leg1A 雨 / ウェット
Leg1B 曇りのち晴れ
/ ハーフウェット〜ドライ
Leg2 晴れ / ドライ
グラベル(非舗装路面)
総走行距離
751.46km
SS総距離
157.70km
参加台数
37台
このRally Hokkaidoは、国際大会であるAPRC(FIAアジア・パシフィック・ラリー選手権)との併催となり、国内ではめったに見ることのできない競技車両、チームが参加。また、総走行距離は750kmを超え、SS(スペシャルステージ)も150kmを超えるスケールの大きい大会であるため、道内だけでなく遠方からもラリーファンが多く集まり、各チームのテスト走行日である20日(火)からたくさんのファンで賑わっていた。
ホストタウンは、北海道帯広市。23日(金)の夜に、Leg1Aとして、サービスパークに隣接する「Sammy SATSUNAI (1.47.km)」を走行、翌24日(土)をLeg1Bとして、「IKEDA(12.37km)」「KUNNEYWA(20.42km)」「PAWSE KAMUY(10.40km)」を2回ずつ走行し、「RIKUBETSU LONG(4.63km)」を3回、「Sammy SATSUNAI」を1回走行する。Leg2は、「OTOFUKE Reverse(6.12km)」を2回、「NEW HONBETSU(11.77km)」と「NEW ASHORO LONG(29.11km)」を1回ずつ、最後に再び「Sammy SATSUNAI」で締めくくるスケジュールとなっている。20kmに及ぶロングステージや、グラベル(非舗装路面)ラリーでありながら全てがターマック(舗装路面)で構成されるステージ、グラベルとターマックが入り混じっているステージなど、タイヤ選択やセッティングを含めた各チームの戦略が勝敗を左右する構成となっている。
チームは、前回のクラッシュによる修復作業を急ピッチで進め、グラベルラリーへの仕様変更および今までのデータを元に、でき得る限りの補強を施し、21日(水)のテスト走行を経て、本大会を迎えた。





翌24日(土)、雨は上がったものの路面はウェット〜ハーフウェットと難しいコンディション。この日は、全面舗装で構成されるSS2「IKEDA1」からのスタート。上りが主体だが、後半はアップダウンが続き、路面は前走車のインカットによって大量の泥が撒かれており、非常に滑りやすく難しい路面となっている。レッキ(試走)の時点で要注意のコースだったが、慎重に走らせつつもクラス2番手タイムでクリアし、SS3「RIKUBETSU LONG1」へ。林道と、陸別サーキットというダートコースを合わせたこのステージは、4.63kmと距離はないものの、コーナーのリズム変化が多く、うまく対応しないとタイム差が出てしまうテクニカルなコース設定。多くのギャラリーが集まる中、こちらも順調に走行しSS4「KUNNEYWA1」、SS5「PAWSE KAMUY1」へ。SS6「RIKUBETSU LONG2」の後、帯広から100km 以上離れた陸別サーキット内に移動して行われるリモートサービスにて、各部点検と車高調整を終え、午後のセクションが始まった。ただでさえタフなRally Hokkaido。コースオフやクラッシュをせずとも多くの車がトラブルに見舞われ、毎年約半数がリタイアとなるため、とにかく完走を目指しマシンを走らせる。SS8、この日2回目の走行となる「KUNNEYWA2」は、20.42kmものロングステージで、今大会名物とも言える超高速ステージ。1kmを超えるロングストレートには数カ所のジャンプがあり、繊細なドライビングコントロールが要求される。しかし、SS走行中、マシンに激しい振動と異音が発生。なんとかフィニッシュまでマシンを運び、リエゾン(一般道移動区間)にてマシンを確認したところ、ドライブシャフトのブーツが外れグリスが噴き出している症状が見られた。幸いスペアパーツの用意があったため、サービスまでマシンを運ぶことができれば、修復は可能であるが、残るSSは3本、サービスまでの総走行距離は176.43kmにも及ぶ。今にも破損しそうなドライブシャフトでは厳しいだろうか・・・チーム全員の脳裏に一瞬の不安がよぎったが、帯広のサービスに戻ってきたメカニックたちは、マシンを修復させるべく万全の体制を整えてマシンの帰りを待った。クルーはマシンを労りながらギャップを避け、路面に注意するなど最大限の注意を払い、残る全てのSSをスロー走行にてクリア。タイムコントロールへの遅着はあったもののサービスまでマシンを運んだ。その間にも、次々と他の場所から異音が現れはじめ、ミッションやクラッチにまで影響が発生しているようであった。45分間のサービスで、左右のドライブシャフトを交換、その他下部のエンジンマウントに接触痕が見られたため、こちらも交換し、時間内で作業を終えてパルクフェルメに入った。





今大会の3位によるポイントの獲得で、シリーズランキングは一気にJN-5クラス3位に浮上。残る2戦は、ターマックでの戦いとなる。今回受けたダメージを修復し、岐阜県高山市にて開催される「M.C.S.C ハイランドマスターズ2016」に臨む。

ドライバー 大橋 逸夫 選手コメント
今回のラリー北海道、これまでの3戦連続のリタイアと、昨年の金曜日夜のSS1でのクラッシュによる大きなプレッシャーの中迎えましたが、慎重に走行することだけでは上の順位を狙えないとアベレージを上げていったところ、車両全体から異音が発生。原因としては補強不足でのパーツ破損でした。
土曜日の走行を終え何とかサービスに戻って翌日に向けて万全の態勢で翌日を迎えたはずが、交換を終えたパーツ近辺よりまた異音が発生。Leg2はサービスがないため、ただでさえ長いラリー北海道の日曜日を、車をサービスパークに戻すことだけを考えできる限り車の負担が発生しないように、かつ15分以上の遅着による失格を避けるためにありとあらゆる技を使って走行しました。
同クラスの車両のリタイアにより、結果的に表彰台3位を獲得できましたが内容に納得のいくものではありません。残り2戦となりましたが、上位を目指して頑張ります。

コ・ドライバー 藤上 亘 選手 コメント
初めて選手として参加した正直な感想は、「こんなにも過酷だとは・・・」です。2日に渡るレッキや13時間以上に及ぶLeg1。30km近い長距離SS、1kmを超える超ロングストレート。レッキ中、本番スピードを意識するように心がけてはいますが、速度が一体何キロ出るのか、この橋でジャンプしたらどうなるか、予想がつきませんでした。本番では、荒れた路面に耐えきれず、駆動系トラブルを抱えてしまいました。いつ完全に止まっても不思議ではない状態で、丁寧に、負担をかけないように車を運んでくれたドライバーに感謝です。常に集中し、そろそろと車を操作しなければならない状況での180kmは本当にきつかったと思います。「帰って来さえすれば絶対なんとかするから、帰ってこい!」と言ってくれたメカニック、「大丈夫だから帰っておいで!」と励ましてくれたマネージャー、「頑張れ!」「もう少しだ!」と声援を頂いたたくさんのファンの皆様。皆様のお力があっての3位完走です。本当にありがとうございました。